長年会社員として働いてきた中で、あまり考えてきたことはなかったのですが、
50歳を超えると「退職後の生活をどう設計するか」ということが頭の片隅に浮かんできます。
いざ現実味を帯びてくると、やはり最も重要なのはお金のプラン=マネープランです。
今回は、私自身が退職後に向けて考えた課題や準備について整理してみたいと思います。
退職後の生活で重要となる課題
退職後のマネープランを考えるにあたり、まずは大きな課題を洗い出しました。
- いつ退職するか?
- 年金をいつから受給するか?
- 退職後の住民税・社会保険料はいくらかかるか?
この3つを具体的に考えることで、漠然とした不安が「数字」として見えてきます。
ベースとなる資産状況
ブランド品や高級車や都心のマンションといった贅沢品にはそれほど興味がなく、
子供達も高校までは公立に通ってきましたので、
ありがたいことに、これまでの生活の中である程度の備えが出来ていました。
- 企業DCと個人年金
- 2009年から毎月10万円積み立てていた資産(投資信託)
- 自宅のマンションはローン完済済み
- 大学の学費(子供二人分)は学資保険で別途準備済み
こうして書き出してみると、住まいや教育費といった大きな不安要素は既にクリアしており、
「これなら退職後もある程度の自由度を持って生活設計できる」と思えてきました。
1. いつ退職するか?
会社の規定では定年は60歳、その後65歳まで雇用延長があります。
ただし、働き方の選択肢は次の2つでした。
- 定年前の80%程度の給与で、業務量はほとんど変わらない。
- 給与は半分以下になるが、業務負担は大幅に軽減される。
人間関係や仕事に不満はなかったのですが、当時の体調面を考えると「なるべく早く退職したい」という気持ちが強くなっていました。
そのため、当初は定年半年前の59歳6ヶ月をターゲットに設定しました。
ところが、58歳の年明けに担当していた大きなプロジェクトが一区切りを迎え、
「今が潮時だ」と感じました。
新しい案件に取り組む前に決断し、最終的には58歳9ヶ月での退職となりました。
2. 年金をいつから受給するか?
50台後半になると「ねんきんネット」で年金額のシミュレーションができるようになり、
繰り上げ・繰り下げの複数パターンを試すことができます。
- 60歳からの繰り上げ受給
- 65歳からの通常受給
- 70歳まで繰り下げ受給
一般的には「繰り上げ受給して住民税非課税世帯を目指す」という考え方もありますが、
私の場合は60歳に繰り上げてもぎりぎり非課税にならないことが分かりました。
そこで最終的に選んだのは70歳まで繰り下げ受給。
70歳からの年金額は約30万円/月、さらに配偶者の国民年金も加わるので、
夫婦2人分の生活費は十分にカバーできそうです。
60歳から70歳までの10年間は個人年金+iDeCo(企業DCを移管)+資産の取り崩しで
生活費をまかなう計画です。
3. 退職後の住民税・社会保険料
退職後に見えてくるのが「税金と社会保険料」の重さです。
- 住民税:120万円(24年:60万円、25年:60万円)
- 国民年金:夫婦2人で約50万円
- 国民健康保険:家族4人で約100万円(1年目は任意継続、2年目は国保でほぼ同額)
失業保険を最大限に受給しても約125万円にとどまり、30万円程度不足します。
ここが悩みどころでした。
そこで調べていく中で見えてきたのがマイクロ法人という選択肢。
法人化することで、社会保険料の総額を年間35万円程度に抑えることができる可能性があります。
といわけで、退職後すぐにマイクロ法人を立ち上げて、そこから給料を受け取る形にし、
社会保険料をミニマムにする方針を固めました。
まとめ
こうして整理してみると、自分が退職後にとった選択は次の通りです。
- 58歳9ヶ月で退職
- 年金は70歳まで繰り下げ受給
- 退職後の社会保険(健康保険と年金)はマイクロ法人で最小化
- 60歳から70歳までの生活費は、
マイクロ法人の給料+個人年金+iDeCo(年金)+資産取り崩し で対応 - 60歳までの生活費と住民税は退職金で対応可
漠然とした不安が、数字や仕組みに落とし込めたことで「これなら大丈夫」
という実感が湧いてきました。
次回は、「なぜマイクロ法人を検討したのか」をもう少し詳しくまとめてみようと思います。