映画 リライト

映画

今日もまた、イオンシネマで映画を観てきました。
本日鑑賞したのは、公開されたばかりの『リライト』。
実は、最初はそれほど期待していたわけではなかったんです。
タイトルだけを見たときには、ちょっと難しそうな印象があって、
「もしかしたら退屈するかも…」という不安も正直ありました。

ですが、上映が始まって10分も経たないうちに、その不安はきれいに消えていきました。
思っていた以上にストーリーが緻密に練られていて、淡々と進む展開の中にも静かな緊張感があり、
気づけばどっぷりと物語に引き込まれていたのです。

この映画、一見すると穏やかで地味な印象すらある作品です。
派手な展開があるわけではなく、登場人物の会話も少なめ。
けれどその分、ひとつひとつの場面が丁寧に描かれていて、言葉ではなく
「空気」や「間」で伝えてくる演出が見事でした。

随所に張り巡らされた伏線が、最後の最後で見事に回収されていく展開には、ただただ唸るばかり。
「この話、どうやってオチをつけるんだろう?」とずっと気になっていたのですが、
ラストで一気に視界が開けるような感覚があり、まさに“腑に落ちる”結末でした。

なにより素晴らしいのは、説明的なセリフが一切ないこと。
登場人物の表情や仕草、沈黙の間に込められた感情がじわじわと伝わってきて、
「ああ、そういうことだったのか」と観る側に自然と理解させてくれる。
最近の映画ではなかなか見られない、“観客を信じて託す”ような演出に、深く感動しました。

ラストシーンは特に印象的で、静かに幕を閉じるにも関わらず、胸にぽっと灯がともるような、
不思議な余韻が残りました。
観終えたあとは、まるで長い夢を見ていたかのような感覚で、
劇場を出た後もしばらく余韻が抜けませんでした。

そして、もうひとつ個人的にぐっときたのが、この映画の舞台となった尾道の風景。
何年も前に訪れたことがある場所だったのですが、あの坂道や石段、細い路地、
そして港町のゆったりとした空気感が、スクリーンいっぱいに広がっていて、
懐かしさで胸がいっぱいになりました。

画面に尾道のロープウェイが映った瞬間には、「ああ、また乗ってみたいなぁ」と
思わず呟いてしまいました。
時間がゆっくりと流れるような街並みと、映画のもつ幻想的な雰囲気がよく合っていて、
まるで“時をかける少女”のようなノスタルジーと少しのSF要素が絶妙に混じり合っていました。

全体を通して、派手さはないけれど、深くて静かな感動が残る作品でした。
観終わった後もしばらく、登場人物の気持ちや選択、そしてその後の物語をあれこれ想像してしまう。そんな“余白のある映画”です。
こういう作品は、時間が経ってからふと思い出したときに、またじんわりと感動が蘇ってくるんですよね。

そしてもう一度、尾道を訪れてみたくなりました。今度は映画の中の風景を思い出しながら、あの坂道を歩いて、港の風を感じてみたいと思います。

★★(星2つ)とつけましたが、これは「地味だけど、じわじわ効く良作」という意味での2つです。派手な娯楽作品とは異なりますが、心に残る映画が好きな方にはおすすめです。


ちなみに、この作品は法条遥さんによる4部作の第1作「リライト」が原作。
このあと「リビジョン」「リアクト」「リライブ」と続いていくそうで、映画を観た今、
原作にもとても興味が湧いてきました。
かなり複雑で奥行きのある世界観とのことで、じっくり読んでみたいと思います。


もし「ちょっと違ったタイプの映画が観たい」「心に残る静かな作品が好き」という方がいれば、
『リライト』はきっと満足できるはず。
次はどんな映画に出会えるのか、またイオンシネマに足を運ぶのが楽しみです。