五大浮世絵師展

イベント

週末を迎える前に、以前から気になっていた五大浮世絵師展へ行ってきました。
会場は上野の森美術館。ずっと「行こう」と思いつつも先延ばしにしていたのですが、今週末で終了と知って、思い切って平日の朝に出かけることに。

到着したのは10時過ぎ。
すでに当日券売り場には長蛇の列ができていました。ネット情報によると、タイミングによっては2時間近く並ぶこともあるとのこと。

私は事前にART PASSというサイトでオンラインチケットを購入しておいたので、スムーズに入場することができました。
当日券の列を横目にそのまま入れるのは、ちょっとした優越感もありました(笑)。

展示は全146点
一つひとつじっくり鑑賞していると、あっという間に2時間以上が経っていました。それぞれの浮世絵師の個性が際立ち、まったく飽きることのない内容でした。

「美人画」といえばどこか作り込まれた印象がありますが、歌麿の描く女性たちはどこか素朴で、生活感のある仕草が魅力的。物思いにふける様子など、写実的で人間味が感じられる作品が多く、惹き込まれました。

写楽といえば役者絵。顔の表情やポーズのデフォルメが非常に印象的で、当時の芝居小屋の熱気まで伝わってくるようでした。今回は「大童山土俵入り」が気になりました。
7歳の大童山を見守る関取たちの温かい眼差しが当時の相撲人気を表しています。

やはり目玉は「神奈川沖浪裏」。作品の前は人だかりでなかなか近づけませんでしたが、ようやく間近で観たときは思わず息をのみました。
個人的に興味を引かれたのは「文字絵六歌仙」。絵と文字が融合した独特の世界観に目を奪われました。

有名な「東海道五拾三次」だけでなく、江戸の街角を切り取った作品も多数展示されていて、新たな広重の魅力を発見できました。特に「雨」「月」「雪」をテーマにした構図は、日本人の美意識を感じさせてくれます。

展示数も最多だった国芳。
ヒーロー的な登場人物、妖怪、勇ましい戦いのシーンなど、見ていてワクワクするものばかり。大胆な構図や鮮やかな色使いで、浮世絵に新しい風を吹き込んだことがよく分かります。

会場の特設ショップでは、浮世絵とスヌーピーがコラボしたグッズが目を引きました。浮世絵と現代キャラクターの意外な組み合わせが面白く、お土産にぴったりです。

お昼は上野バンブーガーデンにある「過門香」で、冷やし麻婆豆腐の台湾極細流水麺と、スープ入り焼餃子をいただきました。冷房の効いた店内で、ホッとひと息。ピリ辛の麻婆豆腐が涼やかな麺とよく合い、食欲をそそる一品でした。

せっかくなので、上野公園も少し歩いてみることに。

まずは清水観音堂へ。舞台からの眺めを楽しみにしていたのですが、残念ながら改修工事中で立ち入ることはできませんでした。それでも「月の松」越しに、不忍池の弁天堂をわずかに眺めることができて満足です。御朱印もいただき、次はすぐ近くの上野大仏へ。

この大仏は顔だけが残っていて、「これ以上落ちることはない」ということで受験の神様として親しまれています。関東大震災で顔が落ち、体は戦争で供出されたという背景を知ると、少し胸が痛みます。今は穏やかな表情のお顔が静かに祀られていました。

最後に立ち寄ったのが上野東照宮
金色に輝く社殿や唐門は、まさに日光の東照宮に負けず劣らずの荘厳さ。
特に透塀の彫刻は見逃せない見どころです。

平日ということもあり参拝者は少なく、静かな境内でゆっくり参拝できました。
境内には静心所があり、拝観前に御神木と対面して心を静め落ち着かせるための建物があります。
もともとこの場所にあった大きなイチョウを木材に加工して建てられ、
御神木である大楠に対面しています。

ただ、この日の暑さはなかなか厳しく、長くは滞在できず……。
最後にお化け灯籠五重塔を眺めつつ、駅へと向かいました。

汗だくになった体を冷やすため、駅ナカのエキュート上野「やなぎ茶屋」でひと休み。冷たいお茶と和スイーツが染み渡るように美味しく、クールダウンにぴったりでした。


久しぶりの美術館鑑賞と上野散策。
暑さは厳しかったものの、心も目も満たされる一日でした。
五大浮世絵師それぞれの個性と魅力に触れ、日本の美の奥深さを改めて感じました。

興味のある方は、ぜひ展覧会が終わる前に足を運んでみてはいかがでしょうか?