映画鑑賞記 ベートーヴェン捏造

映画

今日は話題作のひとつ「ベートーヴェン捏造」を観に行ってきました。
公開は先週金曜日でしたが、同じ日に「ブラックショーマン」を観てしまったので、
今回は1週間遅れでの鑑賞です。
木曜日の午前中という時間帯を選んだこともあり、映画館全体も本劇場もガラガラ。
ゆったりとした雰囲気の中で、のんびりと作品を楽しむことができました。
こういう贅沢な空間の使い方は平日休みならではですね。

ちなみに映画のお供は、新作フレーバーの「黒蜜きな粉ポップコーン」と「柚子ジンジャー」。
どちらも和の香りがしっかりしていて、映画館の定番メニューとは少し違った
特別感がありました。
特に柚子ジンジャーは爽やかな香りとピリッとした刺激が印象的で、
スクリーンを眺めながらの相棒にぴったりでした。(ちょっと甘すぎかも)


今回も事前情報はほとんど仕入れず、出演者とタイトル、
そしてパンフレットの紹介文を参考にしただけで選びました。
物語の中心となるのは、ベートーヴェンをこよなく愛した秘書シンドラー。
彼が後世に残した「偉人ベートーヴェン像」が、実は彼自身によって
“捏造”されていたのではないか、という切り口です。
シンドラーの死から150年後に、その痕跡が見つかったという史実をもとにした
原作小説の映画化だそうで、歴史好きやクラシック音楽に関心のある人には
たまらない題材だと思います。

脚本を担当しているのはバカリズム。
名前を見たときは「これは笑いを前面に押し出したコメディ作品になるのかな?」
と想像していたのですが、実際には爆笑するような場面はなく、
むしろユーモアを織り交ぜつつも鋭い視点で切り込んでいくような、
少し斜めからのアプローチが光る作品でした。
バカリズムらしい独自の視点が効いていて、思わず考え込む場面も多かったです。


キャスティングもなかなか豪華で驚かされました。
クラシック音楽の世界を彩る著名人たちを、誰もが知る俳優たちが演じており、
見ている側も「あ、この人がここで出てくるのか!」とちょっとしたサプライズを楽しめました。例えばV6のイノッチが登場したり、「8番出口」で印象的だった“あのオジサン”が
再びスクリーンに姿を見せたりと、意外な顔ぶれが揃っています。
知っている俳優が不意に出てくると、やはり気分が上がりますね。


映画を観ながら改めて思ったのは、これまで語り継がれてきた“偉人”たちの逸話の多くも、
実際には誰かの意図や解釈によって形作られてきたのではないか、ということです。
ベートーヴェンに限らず、歴史の中で英雄視されてきた人物の数々にも、
同じような「捏造」や「脚色」があったのだろうなと感じました。
結局、人が語る歴史は人の思惑によって色づけされるもの。
ある意味「まあ、そんなもんだよな」と肩の力を抜いて受け止めるのが
一番しっくりくる気がします。


映画館は冷房が効きすぎていて、正直なところ途中から少し寒いくらいでした。
そこで、鑑賞後は体を温めようと近くのお店で「おにぎり定食」を注文。
大きめのおにぎりが2つに、唐揚げと味噌汁がついて800円弱。
ほかほかご飯の香りと唐揚げのジューシーさにすっかり癒やされました。
最近はランチでも1000円を切るメニューが少なくなってきたので、
この内容でこの値段はありがたい限り。
改めて「まだまだ探せばいいお店はあるものだな」と思いながら、美味しくいただきました。


「ベートーヴェン捏造」は単なる歴史映画でもなく、単なるコメディでもなく、
観る人それぞれに問いを投げかけてくるような不思議な魅力を持った作品でした。
笑わせるというよりも「考えさせる」バカリズム脚本の味わい、そして
豪華キャストによる重層的な演技が、独特の世界観をつくりあげていました。
歴史の裏側に潜む“人間の思惑”に興味のある方にはおすすめの一本です。