日本応援ツーリング15日目

バイク

今日は日本応援ツーリングの15日目です。
5月から始まったこのツーリングも、ついに本当の最終日を迎えました。
ここまで長かったようで、振り返るとあっという間だった半年間。
「今日で終わりか」と思うと、少し名残惜しい気持ちになります。

実家のある浜松をスタートし、愛知、長野と山の中を抜けて松本を目指すルート。
松本で一泊し、翌日は八ヶ岳周辺のポイントを回って厚木に戻る計画でした。
しかし、この日は結果的に何度も予定を組み替えることになり、
最終日らしい、記憶に残る一日となりました。


今回も早めの朝7時に出発です。
浜松インターから東名高速に乗り、三ヶ日JCT経由で三遠南信自動車道へ。
浜松いなさICで降りて国道257号に入り、長篠を抜けて設楽町を目指します。

朝の澄んだ空気の中、山へ向かって走るこの時間がとても気持ちいい。
この日も天気は良好で、道中にはツーリング中のライダーの姿が多く見られました。
信号待ちやすれ違いざまに軽く会釈を交わすだけでも、
同じ時間、同じ空の下を走っている仲間がいるようで、自然とワクワクします。

国道257号から少し外れたところにある田峰観音に立ち寄ります。
境内駐車場にある「だみねテラス」がWPMポイントになっており、
ここで無事にポイントをゲット。
簡単な食事やコーヒーをいただけるカフェにもなっていて、
ツーリング途中の休憩にはちょうどいい場所でした。

境内へと続く階段は、高い木々に囲まれていてとても雰囲気があります。
木漏れ日の差す石段を見上げて、「かっこいいな」と思わず声に出してしまいました。
階段を登ってお参りを済ませ、御朱印もいただき、気持ちを新たに次へ向かいます。


再び国道257号を走って稲武へ。
そこから国道153号に入り、飯田方面へ進みます。
田峰観音からおよそ1時間強で、次の目的地・月瀬の大杉に到着しました。

根羽村にある月瀬の大杉は、国道脇にあり立ち寄りやすい場所です。
駐車場からは吊り橋が見えますが、肝心の大杉は見当たりません。
「本当にこの先にあるのかな」と思いながら吊り橋を渡り、
数分歩いたその先で――突然、巨大な杉が視界に飛び込んできます。

樹齢1800年、樹高40m、幹周14m。
根元で二つに分かれた独特の幹の形は、その大きさと相まって圧倒的です。
しばらくその場に立ち尽くし、
「よくぞここまで生きてきたな」と、自然の力にただ感心していました。


次のポイントまでは少し距離があります。
そのまま国道153号を進みます。
途中、昔よく通った治部坂スキー場を懐かしく思い出しながら走りました。

まだスキー場はオープンしていませんでしたが、
廃業はしていないようで、個人的には少しホッとしました。
さらに進んで那智川沿いで国道256号に入り、妻籠宿方面へ向かいます。

紅葉はそろそろ終盤といったところですが、
さすがは有名な観光地・妻籠宿。
多くの観光客で賑わっていました。

ポイントもここかと思いきや、少し肩透かし。
10分ほど進んだ先、木曽川沿いにある天白公園が目的地でした。
ここには“電力王”と称された福沢桃介が、水力発電開発のために架けた
全長247mの木橋「桃の橋」があります。
春にはミツバツツジが群生するそうですが、
この日は静かで落ち着いた雰囲気が印象的でした。


国道256号を走り、妻籠宿を横目に飯田方面へ。
気がつけば時刻は13時を過ぎ、さすがにお腹も空いてきました。

道沿いで見つけた、ちょっとインパクトのある名前の
「丼々恋グルメ館」に入ることにします。
人気メニューの「がっつきホルモン丼」と五平餅を注文。

甘めのタレで味付けされたホルモンとキャベツがご飯に良く合い、
一気にかき込んでしまいます。
小ぶりで丸い五平餅も、味噌だれが香ばしくて美味。
しっかりエネルギー補給ができました。


お腹も満たされ、次の目的地へ向かいます。
国道153号で松川町まで進み、県道59号で山道に入ります。

天竜川の支流・古淵川沿いを走るこのルートは、
ダム湖もあり、紅葉と湖面を眺めながらのんびり走れる気持ちの良い道。
ツーリングらしい時間をじっくり味わいながら進みます。

14時過ぎに「中央構造線博物館」に到着。
手前の橋から谷間に見えた、雪を被った南アルプスの山々がとても綺麗で、
思わず足を止めて眺めてしまいました。


この日の目的ポイントはすべて達成。
宿泊地である松本へ向かいます。

松川インターから中央道に入り、
休日限定の二輪車割引の距離調整のため、少し先で高速を降ります。
一度は行ったことのある松本城ですが、
以前は出張の合間に外から見ただけだったので、今回は立ち寄ってみました。

到着したのは17時過ぎ。
残念ながら入場時間は過ぎていましたが、
ライトアップされた松本城はとても美しく、
それを見ることができただけでも十分満足でした。


宿泊先はホテルルートインコート松本インター。
松本城からは10分ほどです。

近くにお蕎麦屋さん「榑木野」があったので、夕食は信州そばに決定。
6種類の薬味でいただく十割ざるそばに、
揚げそば餃子とおやきを添えた夕食です。
久しぶりに食べる信州そばは、やはり格別でした。

宿に戻り、翌日のルートを確認していると、
予定していた美ヶ原のビーナスラインが冬季通行止めであることが判明。
観光ポイント3箇所
(美ヶ原自然保護センター、蓼科第二牧場、みずがき山自然公園)は断念です。

「さて、明日はどうしよう……」
そこで思い出したのが、前から行きたいと思っていた諏訪大社。
調べてみると4社巡りができそうです。
急遽目的地を変更し、少しワクワクしながらベッドに入りました。

朝はホテルのビュッフェで朝食です。
和洋揃った品数豊富なメニューについ取りすぎてしまい、
朝からお腹いっぱいになりました。

9時前にホテルを出発すると、町は一面真っ白。
100m先も見えないほどの濃い霧に包まれていて、
「え、こんな霧の中を走るの?」と少し不安になります。
町中でこれほどの濃霧に遭遇したのは初めての経験でした。

慎重に走っていくと、徐々に霧は薄れていき、
山を越えるころには視界も開けてきました。
この「霧が晴れていく感じ」が、
これから始まる一日の象徴のようにも感じられました。


10時過ぎ、最初に訪れたのは下社春宮です。
松本から一番近い場所にあり、4社巡りのスタートとしては最適でした。

境内に入ると、まず本殿の立派さに目を奪われます。
落ち着いた佇まいながら、どっしりとした存在感があり、
長い歴史を積み重ねてきた重みを感じました。

有名な御柱も間近で見ることができ、
写真で見るのとはまったく違う迫力があります。
これから始まる4社巡りに、自然と背筋が伸びる思いでした。

参道の途中には屋根付きの太鼓橋「下馬橋」があります。
かつてはこの橋の手前で馬を降りて参拝したそうです。
自分もバイクを降りて、静かに歩いて橋を眺めながら、
「ここは特別な場所なんだな」と、気持ちを切り替えました。


春宮から30分ほど走り、次は下社秋宮へ。
同じ下社でも、春宮とは雰囲気が少し違います。

境内に入ると、まず目に飛び込んでくるのが
大きなしめ縄が掛かる神楽殿です。
その堂々とした姿は圧巻で、
思わず立ち止まって見上げてしまいました。

また、日本一の大きさといわれる青銅製の狛犬も印象的です。
写真では何度も見たことがありましたが、
実物を前にすると、その大きさと迫力に驚かされます。

境内の一角には御神湯があり、
実際に温泉に触れることができました。
冷えた空気の中、温かい湯に手をかざすと、
不思議と気持ちまでほぐれていくようでした。


下社から上社へ向かう途中、諏訪湖沿いを走ります。
湖面は穏やかで、遠くの山々が静かに湖に映り込んでいました。

ちょうど中間あたりにある諏訪湖間欠泉センターに立ち寄ります。
かつては50mもの高さまで吹き上がっていた間欠泉ですが、
現在は噴出しなくなってしまったそうです。

それでも、数メートルほど水が吹き上がる様子を見ることができ、
自然の力を感じるには十分でした。
湖を眺めながら足湯に浸かり、
しばし何も考えずにのんびりとした時間を過ごします。

半年間走り続けてきた日本応援ツーリング。
この静かな時間が、良い区切りになっているように感じました。


諏訪インター近くで見つけた「ほうとう小作」。
先週食べ損ねたほうとうを、ここでリベンジです。

豚肉のほうとうを注文すると、目の前に現れた鍋は圧巻の量。
麺も具材もたっぷりで、おかわりしてもまだ残るほど。
さすがに完食はできませんでしたが、大満足でした。

昼食を挟んで、次は上社前宮です。
鳥居前の駐車場にバイクを停め、階段を登って境内へ向かいます。

諏訪信仰発祥の地とされる前宮は、
他の社と比べると派手さはありません。
しかし、その分だけ素朴で、
古くからの信仰が息づいているように感じられました。

階段を登り切ると、左手に十間廊、右手に社務所。
さらに坂道を進んだ先に、ようやく本殿が姿を現します。
静かな境内に立つ本殿は、とても落ち着いた雰囲気でした。

本殿の脇には「水眼(すいが)の清流」が流れています。
湧水から流れ出る水は冷たく、透き通っていて、
思わず手を浸してしばらく眺めてしまいました。

また、4社の中で本殿があるのは、この前宮だけ。
さらに4本すべての御柱を間近で見られるのも前宮だけだそうです。
静かな場所で御柱を見上げながら、
この地が諏訪信仰の原点であることを実感しました。


いよいよ最後は上社本宮です。
大鳥居をくぐると、左手に手水舎があり、
ここでも温泉が使われていました。

神楽殿は修理中で幕に覆われていましたが、
雷電像と手形を見ることができました。
境内では七五三のお参りをする家族連れの姿もあり、
穏やかで温かい空気が流れていました。

弊拝殿で参拝を済ませたあとは、布橋を渡り布橋門へ。
この門のところに本二の御柱があります。
4社巡りの最後に、この御柱を見上げながら、
「よくここまで走ってきたな」と、自然と感慨が湧いてきました。

社務所で御朱印をいただくと、
4社巡りの記念品も受け取ることができました。
手にした瞬間、この2日間、
そして半年間の旅が一つの形になったような気がしました。

今回の走行距離は、2日間トータルで620km。
日本応援ツーリングの最終日は、当初思い描いていたルートとは違う形になりましたが、
結果的にはとても印象深い締めくくりになりました。

美ヶ原や八ヶ岳周辺のポイントは冬季通行止めで断念。
正直なところ、その時は少し残念な気持ちもありました。
しかし、急遽予定を変更して訪れた諏訪大社四社巡りは、
この半年間を振り返るには、これ以上ない場所だったように思います。

5月から始まった日本応援ツーリング。
地域応援2箇所、観光応援41箇所、WPM21箇所、
合計166ポイントを獲得することができました。
数字だけを見れば一つの結果ですが、
その裏には、数えきれない景色や出会い、
そして「走ってみよう」と思った自分の小さな決断の積み重ねがありました。

坂東三十三観音巡りと合わせると、
この1年で走った距離はおよそ1万km。
決して楽な旅ばかりではありませんでしたが、
振り返ると「大変だった」という記憶よりも、
「楽しかった」という感覚の方がはっきりと残っています。

諏訪大社の境内で御柱を見上げたとき、
ふと「また来年も、どこかへ走りに行くんだろうな」と思いました。
目的地が決まっていなくても、
バイクにまたがり、地図を眺めながら考える時間そのものが、
もう次の旅の始まりなのかもしれません。

日本応援ツーリングはひと区切りつきましたが、
走る理由がなくなったわけではありません。
行ってみたい場所、もう一度走りたい道、
そして、まだ知らない日本が、きっと来年も待っています。

そろそろ、来年の計画を考え始めよう。
また新しい旅の記録を残せるように――
そう思いながら、厚木への帰路につきました。

項目詳細金額
初穂料田峰観音500
初穂料諏訪大社 春宮500
初穂料諏訪大社 秋宮500
初穂料諏訪大社 前宮500
初穂料諏訪大社 本宮500
食事(丼々恋グルメ館)がっつきホルモン丼1,573
食事(榑木野)十割ざるそば2,300
食事(小作)豚肉ほうとう1,800
宿泊ルートインコート松本9,900
有料道路(浜松→いなさ)東名高速→三遠南信自動車道960
ETC(松川→梓川)中央道1,380
ETC(諏訪→圏央厚木)中央道→圏央道2,610
ガソリンJASS(新城市)716
ガソリンCOSMO(飯田市)750
ガソリンENEOS(松本市)872
ガソリン宇佐美(厚木市)991