前回の記事では、
「なぜ退職後にマイクロ法人を検討することになったのか」
その背景について書きました。
今回はいよいよ、
マイクロ法人ってそもそも何なのか?
なぜ社会保険料が下がるのか?
という部分を、私の場合を例にできるだけ分かりやすく整理してみます。
専門的な話は後回しにして、
「仕組みの全体像」をつかむことを目的にしています。
そもそもマイクロ法人とは?
マイクロ法人とは、
自分一人、もしくは家族だけで運営する、とても小さな会社のことです。
- 社員は自分だけ
- 取引先があってもなくてもよい
- 売上が大きくなくても問題ない
「会社」と聞くと大げさに感じますが、
実態としては「個人事業主に近い会社版」というイメージです。
重要なのは、
法人という立場になることで、社会保険の扱いが変わる
という点です。
退職後に選べる3つの立場
退職後の立場をシンプルに整理すると、次の3つになります。
① 完全に無職になる
- 国民年金に加入
- 国民健康保険に加入
- 保険料は前年収入ベースで高くなりがち
② 個人事業主になる
- 国民年金・国保は基本的に変わらない
- 収入が少なくても保険料はそれなりにかかる
③ 法人を作って役員になる(マイクロ法人)
- 会社員と同じ「社会保険」に加入
- 保険料は「役員報酬」をベースに決まる
この③が、今回のテーマです。
なぜ社会保険料が下がるのか?
一番のポイントは、
保険料を決める基準が変わるという点です。
国民年金・国保の場合
- 過去の収入や世帯状況が影響
- 収入がなくても、ある程度の金額がかかる
法人の社会保険の場合
- 「役員報酬(給料)」が基準
- 給料を低めに設定すれば、保険料も下がる
つまり、
収入が少ない=保険料も少ない
という、非常に分かりやすい仕組みになります。
会社を作る=たくさん稼ぐ、ではない
ここで誤解しやすいポイントがあります。
マイクロ法人は
たくさん稼ぐための仕組みではありません。
- 給料は最低限
- 生活費は年金や資産から補う
- 法人は「社会保険の器」として使う
こう考えると、イメージしやすいと思います。
お金の流れを超シンプルにすると
流れをざっくり書くと、こうなります。
- 自分で作った会社から
- 自分に役員報酬(給料)を払う
- その給料に対して社会保険料が決まる
- 国民年金・国保より安くなる
「会社から自分に給料を払う」という形を作るだけで、
立場が「無職」から「会社役員」に変わる、というわけです。
デメリットももちろんある
初心者向けとして、良い面だけでなく注意点も触れておきます。
- 会社設立に初期費用(登録免許税の6万円)と法人住民税(年間7万円)がかかる
- 毎年の申告や手続きが増える(ちょっと調べれば、手続きは全てネットでできる)
- 会計処理に手間と費用がかかる(Freee会計+申告で年間7万円程度)
税理士に頼むこともできるが、その場合は年間20万円以上の費用がかかる
ただし、
「社会保険料が年間で数十万円変わる」
と考えると、十分に検討する価値はあると感じました。
退職後の生活との相性がいい理由
マイクロ法人は、
退職後の“ゆるく働きたい”生活と相性がいい仕組みです。
- フルタイム労働はしない
- 収入は少額でもOK
- 社会保険は維持したい
この条件を満たせる選択肢は、意外と多くありません。
次回予告
次回は、もう一歩踏み込んで、
👉 マイクロ法人で実際にいくら変わるのか?(試算編)
- 国民年金・国保の場合
- マイクロ法人の場合
- 年間でどれくらい差が出るのか
を、できるだけリアルな数字で比較してみようと思います。
「自分の場合はどうなんだろう?」
そう考えるきっかけになれば嬉しいです。

